Baicaiの欠片

なんちゃっ哲学はじめました

テキトーに哲学史の話をしよう - 第1回 哲学ってなんじゃらほい?

   西洋哲学史 (上巻) (岩波文庫 (33-636-1))

はじめに

 書評『暇と退屈の倫理学』『哲学の自然』などやっていて古代哲学の話なんかが出てきました。なんちゃっ哲学を騙る当ブログではありますが、実は私もその辺は大昔に概論しかやっておりません。

 学生時代の私は西洋哲学よりも哲学史のほうが面白いと感じていました。でも、哲学の本やサイトは多くあれど、哲学史を追いかけたサイトって案外少ない気がします。

 そこで今日はちょっと初心に帰って哲学史をテキトーに学び直してみようと思います。参考文献はたまたま手に入った『シュヴェーグラー西洋哲学史』です。 

 

Q1.まずはじめに哲学ってなんじゃらほい?

 古代ギリシアでは学問一般を意味し、近代における諸科学の分化・独立によって、新カント派・論理実証主義現象学など諸科学の基礎づけを目ざす学問、生の哲学実存主義など世界・人生の根本原理を追及する学問となる。認識論・倫理学・存在論などを部門として含む。

— 『広辞苑』第五版、岩波書店、1998年、「哲学」より 哲学 - Wikipedia

「そう、まずそれ。そもそも哲学ってなんなのさ?」

「とりあえず、wikipedia先生に聞いてみました。出典は広辞苑のようですが...」

「学問一般とか、根本原理を追求する学問とかさっぱりわからないよ!」

「まぁ、学問全部が哲学ですってことでしょうねぇ…」

 

Q2.哲学の先生方に聞きました

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/43/Immanuel_Kant_%28painted_portrait%29.jpg/200px-Immanuel_Kant_%28painted_portrait%29.jpghttps://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/75/Ludwig_Wittgenstein_1910.jpg/200px-Ludwig_Wittgenstein_1910.jpghttps://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/2c/Heidegger_4_%281960%29_cropped.jpg

イマヌエル・カント - Wikipediaウィトゲンシュタイン - Wikipediaハイデッガー - Wikipedia

 古代ギリシャの哲学は、三通りの学に分かれていた。すなわち――物理学、倫理学および論理学である。この区分は、哲学というものの本性にかんがみてしごく適切であり、これに区分の原理を付け加えさえすれば、かくべつ訂正すべき点はないと言ってよい。

イマヌエル・カント(1724-1804)、『道徳形而上学原論』、篠田英雄訳、岩波文庫、1976年、5頁、「序言」より 哲学 - Wikipedia

「カント先生によれば、哲学は”物理学と倫理学と論理学”だそうです」

「...」

 哲学の目的は思考の論理的明晰化である。哲学は学説ではなく、活動である。哲学の仕事の本質は解明することにある。

— ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン(1889-1951)、『論理哲学論考』、野矢茂樹訳、岩波文庫、2003年、51頁より 哲学 - Wikipedia

ヴィトゲンシュタイン先生によれば、哲学は”思考の論理明晰化”だそうです」

「...」

 古代以来、哲学の根本的努力は、存在者の存在を理解し、これを概念的に表現することをめざしている。

マルティン・ハイデッガー(1889-1976)、『存在と時間』上、細谷貞雄訳、ちくま学芸文庫、1994年、19頁、「序に代えて」より 哲学 - Wikipedia

ハイデッガー先生によれば、哲学は”存在を概念的に表現すること”だそうです」

「...」

 

Q3.せっかくだから國分先生(ドゥルーズ先生)にも聞きました

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哲学とは新しい概念を作り出すこと

ジル・ドゥルーズ(1925-1995)ー『哲学とは何か』 

哲子の部屋 ?: 哲学って、考えるって何? (國分功一郎)より

「最後に我らが國分先生にも聞いてみましょう! 國分先生曰く、ドゥルーズ先生の説を採用して、哲学とは”新しい概念(モノの見方、考え方)を作り出すこと”だそうです」

「......みんな言ってることが違うじゃん!!」

「そうなんです。だから、学問全部が哲学ってことになっちゃうんでしょうねぇ…」

 

Q6.だから、結局哲学ってなんなのさ!

 哲学は、経験的なものの総体を思想的に組織された体系という形で考察するのである。哲学は経験科学の進歩や一般的な社会的および国家的文化の進歩と手をたずさえて歴史の経過のうちに現れ、この世界学の発展および完成のさまざまな段階を示すものなのである。

西洋哲学史 (上巻) (岩波文庫 (33-636-1))

「これが本記事の参考文献であるシュヴェーグラー先生が説いた哲学の意義です」

「経験の総体を思想的に体系で考察…やっぱり、さっぱり、わからないよ!」

「めっちゃ噛み砕いて言うと、ゲームで「レベルが上がった!」とか言うでしょう? そんなキャラクターの”レベル”を表すものが哲学です。そして、キャラクターのステータス(力、技、速さ...)が各学問や文化の発展段階と考えてもらえば分かりやすいのではないでしょうか?」

日本哲学Lv6(科学10,技術7,文化5…)とかそういう感じですか......」

「そんな感じです。あくまで哲学史的なとらえ方ではありますが」

 

Q7.それなら、哲学史ってなんなのさ?

 哲学史が述べなければならないのは、これらさまざまの時代哲学の内容、順序、および内的連関である。

西洋哲学史 (上巻) (岩波文庫 (33-636-1))

「シュヴェーグラー先生は哲学史とは”さまざまの時代哲学の内容、順序とその関係を述べること”と言っています」

「まぁ、哲学史って哲学の歴史ってことだもんね」

「注目して欲しいのは、”時代哲学の内容を述べる”というところ。逆に言えば、時代によって哲学は内容が違うということです」

「だから、みんな言うことが違うのか!」

 

Q8.哲学とは?を考えるためには?

「だから、哲学史を勉強すると”その時代の哲学”が何だったのかが分かります」

「哲学ってなんだ!?って質問には答えられないけれど、”その時代の哲学”は何だ?って質問には答えられるんだ」

「実際に上で偉い先生方が答えているでしょう? でも、バラバラに思えるのはみんな時代が違うからです」

「なるほどねぇ」

「そして、その順序と関係を並べていくと、”その時代の哲学”がどうしてそうだったのかも分かります。逆に言えば、単体で哲学者の答えを見てもその意味を捉えられないことが多いです」

 

Q9.つまり哲学史を学べば哲学とは何だったのかが見えてくる?

「一般に、哲学が良く分からないモノとされている原因は”今”に繋がる哲学史が理解されていないからという気もしますね」

「つまり、哲学とはなんじゃらほい?が知りたければ、哲学史から学びなさいっと?」

「そうですね。”愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ”という訳ではありませんが、私たちも哲学を知るために、哲学史をテキトーに追いかけて見ることにしましょう。単なる哲学の”歴史”ですからそんなに難しいものでもないはずです!」

   

蛇足...

「って、ウィトゲンシュタインハイデッガー生まれ年一緒やん!」

wiki哲学に載ってたのがこの三人だったんですよー!」

「まぁ、同じようなことを言ってるってことで!!」

 

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