テキトーに哲学史の話をしよう - 第9回 アリストテレス‐ペリパトス学派編
はじめに
「哲学って何? 食べられるの?」っと哲学が一般に良く分からないモノとされている原因は、”今”に繋がる哲学史が一般に理解されていないからという気がします。なんちゃっ哲学を騙る当ブログではありますが、実は私もその辺は大昔に概論しかやっておりません。
そこで哲学を知りたければ哲学史を学ぶのが一番だ! っと言うわけで、今日はちょっと初心に帰って哲学史をテキトーに学び直してみることにしようと思います。参考文献はたまたま手に入った『シュヴェーグラー西洋哲学史』です。
Q1.アリストテレスの哲学とは?
・プラトンでは直観的であった思考がアリストテレスでは論証的となり、プラトンの直接的な理性直観はアリストテレスではむしろ現象の多様に眼を向け、イデアをその具体的実現のうちにのみ求めた。
・アリストテレスはかれ以前には知られていなかった多くの学の創始者である。かれは論理学の父であるばかりでなく、また倫理学、美学、博物学、心理学、自然法の父である。
「アリストテレスは上記のように多くの学問の創始者ともされています」
「論理学、倫理学、美学、博物学、心理学、自然法…。なるほど。すごいねこれは」
「プラトンもそうでしたが、アリストテレスもそれまで一緒くたに哲学とされていた学問を切り分け、発展させて体系化させたのです」
「学問がぽろぽろ生まれてくるのがギリシア哲学!」
「さらに、アリストテレスはプラトンのイデア論を引き継いで、イデア論に具体的客観性を持たせました」
「そうですね。イデア論はプラトンが発案して、アリストテレスによって発展したといってもよいかもしれません」
Q2.アリストテレスはこう考えた
「万物の究極原理は”質料(デュナミス)と形相(エネルゲイア)”からできている 」
「アリストテレスの究極原理は”質料と形相”になりました」
「またまた、なんじゃそりゃ?」
「プラトンは客観的真理として”イデア”を置いて真理の方向を統一しました。 けれども、アリストテレスは”イデア”では具体性が足りない。それでは客観的真理になりえない!っとプラトンのイデア論を批判します」
「イデアの具体性?」
「例えば、”人間”や”理性”が究極原理だったらどうでしょう。私や私の理性ですから具体的です。信じられますね。でも、私の外に”イデア”という究極原理があるのです!っと言われたらどうでしょう? 信じられますか?」
「ほんとにそんなもんあるんかい!ってなるね」
「だから、アリストテレスはイデアに具体的な客観性を持たせるものとして、イデアの中に”質料と形相”という概念を主張しました」
「つまり、イデアは”質料と形相”の二つで出来ている?」
「”イデア”があるのです!だけでは信じられませんが、世界がこんなふうにできているからイデアが究極原理なのですって言われたら、なるほどなぁって思うでしょう?」
「たしかに説得力が増すね」
Q3.じゃあ、質料(デュナミス)と形相(エネルゲイア)ってなんなのさ!
・ アリストテレスによれば、質料とは、形相を捨象して考える場合、まったく述語を持たず無規定で区別の無いものである。
・ 区別なく規定のない質料を、区別あるもの、「このもの」、現実的なものとするのは形相である。
「世界を”イデア”組み立て工場だと思ってください。ここで言う質料(デュナミス)はイデアの材料、形相(エネルゲイア)はイデアの型枠とでも思ってください」
「イデアの材料と型枠が質料と形相ってこと?」
「はい。イデア組み立て工場では材料(質料)を型枠(形相)に押し込んでイデアを作り出そうとしています。でもイデアは究極原理ですからそう簡単には作れません。何度も何度も失敗しながらようやくイデアは作られていきます」
「イデアの種を蒔けども蒔けども芽は出ないって感じか」
「そんなかんじです。だから、同じ真理(イデア)を目指していても、ある人は真理にたどり着くけれど、ある人はなかなかたどり着かない。そんな現象をアリストテレスはイデア生成の過程である”質料と形相”で説明します」
「さすが究極原理、ちょっとやそっとじゃ作れない!?」
「だから、アリストテレスはイデアの失敗作も含めた”質料と形相”こそが万物の根源だ!っと言うわけです」
Q4.アリストテレスのまとめ
「その功績はプラトンと良く似ているんですが、両者のスタイルは真反対です。プラトンは思弁的スタイルで思考や論理を積み上げていきましたが、アリストテレスは経験的スタイルで経験や実践を積み上げていったのです」
「この二人が合体することで、ギリシア哲学は完成を迎えたといってもいいでしょう」
Q5.ペリパトス学派の哲学とは?
・ ペリパトス学派と呼ばれるアリストテレス学派は、その哲学に比較的独創が乏しく、したがってまた広く大きな影響も残さなかった。
「アリストテレスの弟子達によってペリパトス学派というアリストテレス学派が続きますが、プラトンの古アカデミア学派と同じようにそこに特筆すべき偉人は現れなかったようです」
Q6.ペリパトス学派のまとめ
・博識であることが尊ばれた。
・アリストテレスの学説の体系作りと解釈に収まってしまい新しいものを生み出せなかった。
「見れば見るほど、古アカデミア学派とそっくり」
「こちらも資料がないので簡単に済ませてしまいます」
「ソフィスト、ソクラテス、プラトン、アリストテレス。次に哲学の表舞台に立つの誰だ!?」
「ここからギリシアは衰退期にはいります。そんな世相でどんな思考が発生したのか注目ですね」
つづく
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