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テキトーに語る経済思想のお話 - ⑤総括

 テキトーに経済思想史のお話もいよいよ最終回! 経済学なんてよく知らなかった私が学んでみて面白かった経済思想史を語ります。きちんと勉強している方から見れば何言ってんだこいつ?って感じでしょうがご容赦ください。

 

 さて、経済思想史ってなんじゃらほい?っというと、簡単に言えばみんなが大好きなお金の話です。もっと言えばどうやったらみんな豊かになるの?ってお話です。お金儲けってどうやるの? 第五回の今日は今までの総括をしてみます。

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5.総括

 

 第一回から第四回まで簡単に経済思想史を追いかけてみました。資本主義より先の経済思想はまだ歴史になっていないので言及しません。ってか私もよくわかりません。でも、専門的な議論に参加でもしない限り、重商主義重農主義マルクス主義、資本主義の4つの概念が分かれば、現状を理解するのに問題はないかなと思います。

 ここでは総括としてこれらの概念をおさらいしながら、それぞれの経済思想がたどってきた歴史を振り返ってみることにしましょう。

  

 1.重商主義(お金=富)

 お金が富を生むのだ。だから、お金を持てば持つほど豊かになれる。だから、お金があるところから奪って来い! このような略奪的経済思考が重商主義です。程度の差こそありますが、「相手よりできるだけ多くとってこい!」というビジネススタンスは変わりません。

 重商主義の世界では富の集中によって一時的に経済活動が活発化するのですが、略奪先が痩せてくると富の循環が発生せず、経済活動は先細りとなってしまいます。結果として、新たに資本主義が生まれ重商主義は覇権を譲る形になりました。

 

  2.重農主義(土地=富)

 土地が富を生むのだ。だから一次産業を振興して豊かな土地を増やせば、われわれの生活はより豊かになる。このような豊穣の大地的な経済思考が重農主義です。理論としては間違いがないように思えます。

 しかし、堅実であるがゆえに富の生産力に乏しく、外部との交易により経済を荒らされてしまいます。外部からもたらされる爆発的富の前にもろく崩れやすいのが重農主義の欠点です。

 

 3.マルクス主義(労働=富)

 労働こそが富を生むのだ。だから、より効率的な労働環境を整えてやることが豊かな生活に繋がるのだ。このような労働主義の経済思考がマルクス主義です。重農主義の土地を人に変えただけあって、こちらも理論上は問題がないように思えます。

 しかし、重農主義と同様に外部との交易により経済を荒らされるともろく崩れやすい欠点を持っています。富の生産力が外部を上回っていればよいのですが、ひとたび負け始めるとバランスをとるのに非常に苦労することになります。

  

 4.資本主義(交換=富)

 交換こそが富を生むのだ。だから交換を促進し、どんどん富を生産することで豊かな生活を実現するのだ。このような交換至上主義の経済思考が資本主義です。資本主義は交換という行為が富を生むため、理論上は無限に富を生産することが可能です。

 また、資本主義は重農主義を「土地生産物とお金の交換」マルクス主義を「労働力とお金の交換」というようにその理論内に組み込むことができ、理想的な思想に思えます。

 しかしながら、「交換によって富が発生する」と考える資本主義経済は、「金の所持こそが富を得る方法である」と考える重商主義と非常に相性が悪いのです。重商主義者は金の所持を望むため、重商主義が力を持っている資本主義経済下では交換が発生せず有効に機能しません。

 一時は略奪先の先細りによって破たんした重商主義経済ですが、資本主義が台頭したことで新たな略奪先を獲得しました。皮肉なことに無限の富を生む資本主義経済下では重商主義の略奪的経済が有効に機能するのです。大きく見れば現在の経済は重商主義と資本主義が引っ張り合っているといえるのかもしれません。

 

・まとめ

 

 なんだか重商主義を悪者にしてしまいましたが、基本的に思想に良い悪いはありません。すべては推論なのです。重商主義者にしてみれば「バッキャロー! ”土地”や”労働”や”交換”が富を生むわけねーだろ!! その考え方は間違っている。正しくは金が富を生むんだよ!!」と理論を主張しているだけですから。

 結局はバランスなのだと思います。みんないろいろな思想を織り交ぜて自分の主張としています。おそらく100%純粋な○○主義者というのはいないでしょう。同様に国家が100%○○主義の政策をとることもできません。仮にやったとしても機能しないでしょう。

 

 重要なのはそれぞれの考え方がどのような考え方なのかを理解することだと思います。今行われようとしている経済政策がどちらを向いているのかがわかれば、多少は経済を身近に感じるのではないでしょうか。

 また、案外自分が思っていた考え方と世間一般に言われている経済思想がズレていたということがあるのではないでしょうか。興味本位で手を付けた経済思想史が目から鱗だった私のように「なんとなく資本主義が一番強いんでしょ?」と思っていた方が少しでも「あれ?私って案外マルクス?」とでも思って頂けたら幸いです。

 

 本シリーズは以上で完結とさせていただきます。もしかしたら、蛇足的にあと一回だけ以上の視点から今の日本経済の状態でも語ってみようかと思っています。