Baicaiの欠片

なんちゃっ哲学はじめました

テキトーに哲学史の話をしよう - 第7回 小ソクラテス学派編

   西洋哲学史 (上巻) (岩波文庫 (33-636-1))

はじめに

 「哲学って何? 食べられるの?」っと哲学が一般に良く分からないモノとされている原因は、”今”に繋がる哲学史が一般に理解されていないからという気がします。なんちゃっ哲学を騙る当ブログではありますが、実は私もその辺は大昔に概論しかやっておりません。

 そこで哲学を知りたければ哲学史を学ぶのが一番だ! っと言うわけで、今日はちょっと初心に帰って哲学史をテキトーに学び直してみることにしようと思います。参考文献はたまたま手に入った『シュヴェーグラー西洋哲学史』です。 

    

Q1.小ソクラテス学派の哲学とは?

ソクラテスの死によって、普遍的な典型にまで高められ、霊感をあたえる原理としてさまざまな方向にその影響を残した。

ソクラテスをこのように典型として理解すること、これがまさにソクラテスを直接に継ぐ諸ソクラテス学派に共通な性格をなしてもいるのである。

西洋哲学史 (上巻) (岩波文庫 (33-636-1))

ソクラテスの弟子達によってその教えが広がっていくんだね」

「でも、ソクラテス自身は所謂活動の人であって、これが真理だ!という確かなモノを残していなかったのです」

「それじゃあ、弟子達は師匠から教わったことをなんとなく広めていったのか」

仏陀やキリストや孔子も弟子の手によって体系化されましたが、同様にソクラテスも弟子の手によって体系化されていくことになります」

 

Q2.小ソクラテス学派の人たちはこう考えた

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/32/Antisthenes.jpeg/220px-Antisthenes.jpegアンティステネス - Wikipedia

1.アンティステネスとキュニコス学派

「”人間”の究極目標は”徳”である 」

「人間の根源は”徳”になりました」

ソクラテスも言ってたね。”徳の本質を究めることが哲学の任務である”」

「でも、この人たちは”徳”を前面に押し出しすぎて無欲・無関心で乞食のような生活をすべし!という域にまで行ってしまいます」

「いわゆる禁欲主義者ですか…」

「徳を重んじて、”善”を学ぶべし!という発想は素晴らしいのですが、そこから発展することが難しかったようですね」

 

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/2/25/Aristippus.jpg/200px-Aristippus.jpgアリスティッポス - Wikipedia

2.アリスティッポスキュレネ学派

「”人間”の究極目標は”快楽”である」

「また極端な人が出てきたよ...」

「先のアンティステネスたちがソクラテスの”徳”に注目した人とするなら、アリスティッポスたちは”幸福”に注目した人です」

「それじゃあこの人は究極の快楽を目指して堕落しちゃうわけ?」

「彼らによれば、快楽を得るためには学と教養が必要とされています。だから、快楽を得るために必死で精神を鍛えなければいけない。だから、この人たちは快楽とは何か?を物凄く考えていきます」

「なんだかこっちもマゾい方向に見えてきた...」

「さぁ、あなたも真なる快を求めて哲学の世界へ!」

 

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/30/Euklid-von-Alexandria_1.jpg/225px-Euklid-von-Alexandria_1.jpgエウクレイデス - Wikipedia

3.エウクレイデスとメガラ学派

「”善”のみが存在する」

「こんどは”善”ですか…?.」

「エウクレイデスはソクラテスの”理性”にエレア学派の”有”を加えて、”理性=善=有”であると考えました」

「これまでとどう違うのさ?」

「彼らによれば、人間こそが万物の尺度であって、倫理的な理性=善のみがその根源に存在している。そして、善に反するものはすべて見せかけであると説きました。つまり、エレア学派の物質的な”有”という発想を、主観的な”善”という発想に置き換えたのです」

「”徳”とか”快”とか”善”とか小ソクラテス学派の人たちは倫理にこだわるね」

「それだけソクラテス自身が倫理的部分を強く主張していたのでしょうね」

 

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/1e/Plato.png/200px-Plato.pngプラトン - Wikipedia

4.完全なソクラテス学徒としてのプラトン

「全ソクラテスを理解しかつ表現したのはプラトンだけであった」

西洋哲学史 (上巻) (岩波文庫 (33-636-1))

「ちょっと! この人だけ完全な学徒とか付いちゃってるよ!.」

「それだけこの人の功績が大きいのです。この人が居なければ、ソクラテスもそれほど偉大とはされなかったかもしれませんよ」

「そんなに凄いの?」

プラトンはそれまでの哲学を集めて一つの哲学体系を完成させた人です。プラトンが居なければこれまで出てきた哲学者たちの教えも残っていなかったかもしれません」

「具体的にはなにをやったのさ?」

「詳しくは次回にやりますが、ソクラテスは哲学を語るだけでした。プラトンはそんなソクラテスの哲学を体系的に纏め上げ、さらにそれまでの哲学を加えて再考証したのです」

「ほえぇ…なんか凄そうな人だねぇ…そんな人をここでまとめられるの?」

「それが一番の問題でしょうねぇ…汗」

 

Q3.小ソクラテス学派哲学のまとめ

ソクラテスの教えをさまざまに解釈し、彼が主張した”普遍的な理性”を多様な形で受け継いで発展させた。

・その多くはソクラテスの一面を強調して捉えたため、それ以上に議論の発展が行われない結果となった。

ソクラテスの教えを最も理解し表現をしたプラトンの登場によってソクラテスの哲学は体系化されていくことになる。

「なんかプラトンがおいしいところを全部持っていっちゃう感じだね」

「まぁ、それだけのことをしていますから。その他の主義主張もここで途絶えたわけではありません。キュニコス学派ストア学派へ、キュレネ学派エピクロス学派へ、メガラ学派は懐疑論へと繋がっていきますよ!」

「人が考えてきた歴史はちゃんと繋がっているんだね!」

「それが哲学史という歴史の面白いところです!」

 

 つづく

 

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