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國分功一郎を読んでみた - 暇と退屈の倫理学 (2)(3)

暇と退屈の倫理学

 

第二章 暇と退屈の系譜学──人間はいつから退屈しているのか?

 

 本章では人類の歴史から退屈を紐解きます。定住革命という観点からの考察はすごく面白いんですが、要点だけを抜き出すと短くてこんな感じ。面白い考察については実際に本書をご覧ください。

 

では、以下要約。

 

Q1.人間はいつから退屈しているの?

 定住生活の始まりとほぼ同時期と考えられます。

 

Q2.その前は退屈していなかったの?

 遊動生活は大変なので退屈する暇がほとんどないのです。でも、毎日旅行をしているような生活です。刺激的で楽しい部分も多いのでしょう。

 

Q3.定住生活は退屈なの?

 毎日旅行をしていた人間がずっと同じ場所で生活することになったのです。変わり映えのしない刺激の少ない日々を彼らは退屈と感じるようになるでしょう。私たちと同じですね。

 

 第三章 暇と退屈の経済史──なぜ“ひまじん"が尊敬されてきたのか?

 

 第二章が短いので第三章も行ってみましょう。本章ではヴェブレンの有閑階級の理論を軸にヒマジンの考察を始めます。本章もフォーディズム革命など興味深い考察が多いのですが、面白い箇所は本書でご覧ください。

 

では、以下要約

 

Q1.ヒマジンってかっこわるいよね?

 そうでもありません。かつてはカッコイイ暇人も存在しました。歴史の中で生まれたヒマジンを紹介しましょう。

 1.有閑階級ヒマジン

 暇であることを許されたヒマジンです。貴族様ですね。彼らは伝統や教養を見せびらかし品位ある暇つぶしで優雅さを競います。 

 2.産業社会ヒマジン

 有閑階級ヒマジンが没落した後に現れたヒマジンです。成金様ですね。彼らには伝統や教養がありませんので、消費力を競い見せびらかします。

3.大衆社会ヒマジン

 労働者にも余暇の権利が与えられたために出現したヒマジンです。私たちですね。私たちは伝統も教養も消費力もありませんので、暇を持て余し退屈しています。

 

Q2.大衆社会ヒマジンはずっと退屈しているの?

 彼らのためにレジャー産業が誕生しました。レジャー産業はヒマジンのために暇をつぶす方法を教えてくれます。

 

Q3.それじゃあレジャー産業を楽しめばいいんだね!

 それはそうなんですが……レジャー産業によって消費スタイルが変化し社会が不安定になりました。

 

Q4.どういうこと?

1.有閑ヒマジンは優雅さを競うために目的を持った消費をしていました。

 有閑ヒマジン「こんなのが欲しい」

 生産者   「作ってみました」

 有閑ヒマジン「素敵!でも、次はこんなのが欲しいわ」

2.大衆ヒマジンはレジャー産業に頼るしかないので関係が逆転します。

 大衆ヒマジン「ひまー、たいくつー」

 生産者   「こんなのをつくりました。これで暇をつぶしなさい」

 大衆ヒマジン「買った…飽きた…また退屈…」

 生産者   「次はこれ!だめ?ならこれ!その次は…」

 

 Q5.それだとだめなの?

 大衆ヒマジンは"欲しい"を持たないので、訴えかけなければモノを買いません。そのため生産者は次々と新しいモノを生産し続け、広告を打ち続けることになります。

 生産者にとって新製品の開発は大きなリスクを伴うため、経営が不安定になります。結果として労働者の雇用も不安定となり、社会全体を不安定なものにしています。

 

 Q6.どうしたらいいの?

 次章で詳しく検討してみましょう。

 

次回へ続く… 

 

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