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なんちゃっ哲学はじめました

テキトーに哲学史の話をしよう - 第6回 ソフィスト-ソクラテス編

   西洋哲学史 (上巻) (岩波文庫 (33-636-1))

はじめに

 「哲学って何? 食べられるの?」っと哲学が一般に良く分からないモノとされている原因は、”今”に繋がる哲学史が一般に理解されていないからという気がします。なんちゃっ哲学を騙る当ブログではありますが、実は私もその辺は大昔に概論しかやっておりません。

 そこで哲学を知りたければ哲学史を学ぶのが一番だ! っと言うわけで、今日はちょっと初心に帰って哲学史をテキトーに学び直してみることにしようと思います。参考文献はたまたま手に入った『シュヴェーグラー西洋哲学史』です。 

    

Q1.ソフィストの哲学とは?

ソフィストとともに新しい原理、主観性の原理が現れる。すなわち、物とは、それが自我にそう見えるものにすぎず、普遍的に妥当する真理は存在しない、という思想である。

西洋哲学史 (上巻) (岩波文庫 (33-636-1))

「あれ? 今回は”自然を説明する原理を見出すこと”じゃない!?」

「自然を説明する哲学は前回のアナクサゴラスで一区切りを向かえました。今回から哲学史的に新しい哲学がはじまります」

「それが、モノとは、それが自我にそう見えるものにすぎず、普遍的に妥当する真理は存在しない、という思想??」

「アナクサゴラスの”ヌース”は自然の根源に”こうなりたい”という意思を与えました。ソフィスト達は逆に”私たちがこう見たい”という意思をもって見るからそう見えるのだっと言いうわけです」

 

Q2.ソフィストの人たちはこう考えた

1.プロタゴラス

「”人間”は万物の尺度である 」

「万物の根源は”人間”になりました」

「人間ですべてのモノができてるの!?」

「物理的な発想ではなくて感覚的な発想です。人間がモノだ!と思うからモノが存在するわけです。つまり、”ヌース”を持っているのは私たち人間だったんだよ!」

「なんだってー!!」

 

2.ゴルギアス

「何も存在しない」

「万物の根源はなくなりました」

「え? ないの?? 無から有が生まれるとかいう話じゃなくて?」

「ここではちょっと違います。何も存在しない。もし存在していたとしても、私たちはそれを知ることができない。もし知ることができたとしても、私たちはそれを伝えることができない。だから、仮に何か存在するとしても、最初から存在しないのと同じことだ。っというのです」

「出た無理矢理論!」

「注意したいのは何もないと主張しているのではなくて、万物の根源を私たちは認識することができない。つまり、何もないのと同じことだ。というわけです。こちらも非常に主観的な発想ですね」

 

Q3.ソフィスト哲学のまとめ

・客観的発想から主観的発想へと意識を転換した。

・主観的弁証法という新しい技術用いてあらゆる知識の再考証を行った。

・主観的発想をもって人びとを啓蒙することに力を注いだ。結果、人びとに自己意識を育ませ、民主政治を支えることになった。

ソフィストの哲学者によって、自然を説明する原理は”私たちの頭の中”になりました」

「水、空気、数、有、成、四元素、アトム、ヌースと来て、”ヌース=私たち”となったわけか」

「自然を説明する原理は正直説明できない。けれども、それを認識する私たちの中に問題があるのではないか?っと、思考を転換させたわけです」

「神様が居るのかどうかはわからないけれども、それはきっと自分の中にあるってか」

「そこから個人主義的な考え方も発生したのです」 

 

Q4.ソクラテスの哲学とは?

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/19/Anderson%2C_Domenico_%281854-1938%29_-_n._23185_-_Socrate_%28Collezione_Farnese%29_-_Museo_Nazionale_di_Napoli.jpg/200px-Anderson%2C_Domenico_%281854-1938%29_-_n._23185_-_Socrate_%28Collezione_Farnese%29_-_Museo_Nazionale_di_Napoli.jpgソクラテス - Wikipedia

・人間が万物の尺度ではあるが、普遍的な、思考する理性的な人間がそうなのだということーこれがソクラテスの教えの根本思想であり、これがソフィスト的原理の積極的な補足をなしえているのである。

西洋哲学史 (上巻) (岩波文庫 (33-636-1))

「万物の根源は”理性”になりました」

ソフィストとどう違うのさ?」

ソフィストたちは”万物の尺度は人間である”として自由な個々人を作成しましたが、そこに共通の真理はありませんでした。ソクラテスはそこに”思考する理性”という共通認識を与えることによって、ソフィストの哲学を体系化させたのです」

 

Q5.ソクラテスはこう考えた

・哲学の出発点は自らを知ることから始まる

・徳の本質を究めることが哲学の任務である 

・徳は知によって知は教えによって誰でも手に入れることができる

ソクラテス自身の学説というものは残されていないので、その考えを一言で示すことはできませんが、概略するとこんな感じでしょうか」

「己を知れば百戦危うからず!」

「有名な逸話ですとソクラテス的エロネイア / 助産術などがありますね」

「なんだそれ?」

「次のQで説明してみましょう」

 

Q6.ソクラテス的エロネイア / 助産術とは?

1.(自称)知識人に会いに行く

2.(自称)知識人に質問をあびせまくる

3.(自称)知識人はそのうち答えに詰まる

4.(自称)知識人は知らなかったことを知る

5.(自称)知識人は己の無知を悟り新たな疑いの心を持つ

6.(自称)知識人は理性的な思考を持つ人に近づくことができた!

「簡単に説明するとこんな感じでしょうか?」

「要するに、何で? 何で? 何で? 何で?って繰り返すのか…」

「知識人からしてみれば非常にウザッタイ行為でしょうねえ。助産術の方はもうちょっと建設的ですが、まぁ同じような感じです」 

「要するに、ソクラテスの哲学って”何で?”の連呼ってことか。メンドクサイ!」

「これをやり過ぎた所為かソクラテスは処刑されちゃったりします」

 

Q7.ソクラテスのまとめ

・人間を万物の尺度としながらもそこに”普遍的な理性”を置くことでソフィスト哲学の体系を主観的思想へと纏め上げた。

・普遍的な理性とは倫理/徳の研究で備わるものであり、学び教えあうことができる知識であるとして、倫理的学問の基礎を築いた。

ソフィストは主観を原理におきましたが、ソクラテスソフィストの思想を踏襲ししつつその原理を客観へと再度転換することで普遍的な哲学体系を獲得しました」

「要するに、みんなが頭の中に自分の神様を持っていて好き勝手にやっていたのを、みんなで作る正しい神様像をつくろうよ!って呼びかけたのか」

「その神様像が精神という概念となり、そこから倫理や道徳といった新しい学問が生まれるのですよ」

 

 つづく

 

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