Baicaiの欠片

なんちゃっ哲学はじめました

テキトーに哲学史の話をしよう - 第4回 ヘラクレイトス-エンペドクレス編

   西洋哲学史 (上巻) (岩波文庫 (33-636-1))

はじめに

 「哲学って何? 食べられるの?」っと哲学が一般に良く分からないモノとされている原因は、”今”に繋がる哲学史が一般に理解されていないからという気がします。なんちゃっ哲学を騙る当ブログではありますが、実は私もその辺は大昔に概論しかやっておりません。

 そこで哲学を知りたければ哲学史を学ぶのが一番だ! っと言うわけで、今日はちょっと初心に帰って哲学史をテキトーに学び直してみることにしようと思います。参考文献はたまたま手に入った『シュヴェーグラー西洋哲学史』です。 

  

Q1.古代哲学とは?

・この時代の哲学に共通な傾向は、”自然を説明する原理を見出すこと”である。

西洋哲学史 (上巻) (岩波文庫 (33-636-1))

「毎度のことですが、シュヴェーグラー先生によればこの時代の哲学は”自然を説明する原理を見出すこと”でした」

ピュタゴラス学派、エレア学派の哲学者たちは”数”や”有”を根源として、だんだんと思考的な概念へと変わっていったんだよね」

「今回登場するのはヘラクレイトス、エンペドクレスです」

 

Q2.ヘラクレイトスに聞きました

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/fa/Heraclitus%2C_Johannes_Moreelse.jpg/200px-Heraclitus%2C_Johannes_Moreelse.jpgヘラクレイトス - Wikipedia

どんな自然の元素が根本元素であろうか? 

「”有”と”非有”の統一である”成”こそがすべてのモノの本質である」

「万物の根源は”成”になりました」

「”有”と”非有”の統一??」

ヘラクレイトスはエレア学派の”思考としての有”と”現実としての非有”という概念を合体させて、”成”という概念を作り出しました」

「成せば成るっていうことね」

 

Q3.ヘラクレイトスはこう考えた

・エレア学派の原理においては一元論が追及されているが、その実は二元論となっていた。

ヘラクレイトスは、二つのものの統一である成が、有と非有、一と多との真理であるとすることによって、この矛盾を宥和させた。

西洋哲学史 (上巻) (岩波文庫 (33-636-1))

「言いたいことはなんとなくわかるけれど、結局”有”と”成”はどう違うのさ?」

「エレア学派の”有”とヘラクレイトスの”成”の概念は正反対です。”有”という概念は写真みたいなものです。彼らはシャッターを押した瞬間に収まったモノが真理だ!と主張します」

「あー、その時その一瞬の真実が記録されるって感じか」

「だから、エレア学派の人は写真を動かす動画は誤った行為であると否定します」

「確かに写真はビデオより高尚な気がするね」

「対して、ヘラクレイトスの”成”という概念は動画みたいなものです。彼は現実そのままに動き続けるモノが真理だ!と主張します」

「やっぱり動画のほうが現実に近いよね」

「だから、ヘラクレイトスは現実のように動かない写真を真理とするのは誤った考えであると否定します」

「ビデオマンVSカメラマンの仁義なき戦いが今...。てか、ぶっちゃけどっちも同じようなもんじゃない?」

「まぁ、エレア学派の矛盾をヘラクレイトスが埋めようとしているわけですからね」

 

Q4.ヘラクレイトスのまとめ

ヘラクレイトスの原理とは、すべての物は永遠の流れ、不断の運動と変転のうちにあり、その恒存は仮象にすぎない。

ヘラクレイトスは成の世界の客観的弁証法としているに過ぎない。なぜあらゆる”有”は”成”であるか、なぜ一は永久に多にわかれるか、という問題はたえず帰って来る。

西洋哲学史 (上巻) (岩波文庫 (33-636-1))

ヘラクレイトスはエレア学派が抱えていた矛盾を”成”とすることで解決しました」

「成せば成る...成さねば成らぬ...何事も!」 

「しかしながら、どうして”有+非有”=”成”になるのかを説明できていません」

「写真を並べて動かすと動画ができる! 現実に近い!! これが世の真理だ!!!ってことは分かったけれど、どうしてそうなるのかは分からなかったのね」

「この疑問は次の哲学者に引き継がれていくことになります」

 

Q5.エンペドクレスに聞きました

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/79/Empedokles.jpeg/200px-Empedokles.jpegエンペドクレス - Wikipedia

どんな自然の元素が根本元素であろうか? 

「”四元素(土、水、空気、火)”と”愛”と”憎しみ”がすべてのモノの本質である」

「万物の根源は”四元素(土、水、空気、火)”と”愛”と”憎しみ”になりました」

「って多すぎ!!..」

「エンペドクレスはエレア学派の”有”の概念を”四元素”に、ヘラクレイトスの”成”の概念を”愛と憎み”に変えて、両者の良いところをまとめたのです」

「おいしいところを持っていっちゃったのかぁ、ズルイ人だね」

 

Q6.エンペドクレスはこう考えた

・彼の哲学体系を簡単に特徴づければ、エレア学派の有とヘラクレイトスの成を融合しようとする試みである。

・彼は不滅の有として、独立で互いに他から導出されぬ永遠の四元素を立て、これら四元素に二つの動かす力、結合するものとしての”愛”と、分離されるものとしての”憎しみ”によって混合され形成されると考えた。

西洋哲学史 (上巻) (岩波文庫 (33-636-1))

「元素を動かす力は”愛”と”憎しみ”である」

「土や水や空気や火は愛と憎しみとで動いていたのか…」

「こう言っちゃうと変な感じがしますが、私たちが普段使っている言葉の原義も似たようなものだったりしますよ」

イデアとかエロスとか...この時代の言葉が今も残ってるって結構感慨深いね」

 

Q7.エンペドクレスのまとめ

・彼が前期の質料論者たちから最も異なっている点は、人が生滅と呼んでいるすべてのもの、あらゆる変化は、ただこれら永遠の四元素の混合と分離にすぎず、存在の限りない多様性はそれらの混合の割合にすぎないとしたことである。

・彼の哲学はエレア的原理とヘラクレイトス的原理との媒介である。前者からは諸元素の恒存不変の有を借りており、後者からは動かす力という原理を借りている。

西洋哲学史 (上巻) (岩波文庫 (33-636-1))

「エレア学派を写真、ヘラクレイトスを動画とすると、エンペドクレスは3Dカメラでしょうか?」

「3Dカメラ!?」 

「”四元素”という四台のカメラで四方を囲んで”愛”と”憎しみ”で動かしちゃう的な発想です」

「だんだん、リアルに近くなってきたのか」

「はたして、次は何が出てくるのでしょう??」

 

 つづく

 

蛇足…

「カメラの例を出すのって分かりにくくしただけのような…」

「最初はいいアイデアだと思ったんですが、固執すると苦労しそうですね」

 

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