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Baicaiの欠片

なんちゃっ哲学はじめました

中国哲学で考える - 仁義なき戦い

仁義なき戦い [DVD]

 

 さて、仁義なき戦いです。有名な映画ですが、皆さんご覧になったことはありますか? 私は昔、広島県の呉に住んでいました。お話のモデルになった場所ですね。そんな私は当然…この映画を見たことがありません。内容もよく知りません。

 

Q1.ちょっと!じゃあなんでここで取り上げてるのさ!

  いやぁ、タイトルが素晴らしいなと思いまして。「仁義なき戦い」ですよ! いったいどんな戦いなんだろうってね。

 

 Q2.そりゃあ、ヤ○ザ屋さんの切った張ったの物語なんじゃないの??

  それはそうなんでしょうが、今日はちょうど偉い先生方がいらっしゃってますので、「仁義無き戦い」とはどういう戦いなのかを教えてもらいましょう。

 

Q3.げ!また偉い先生シリーズですか…。

 では、一人目の先生を紹介しましょう儒家孟子先生です。

孟子曰。

仁人心也、義人路也。

仁は人の心なり、義は人の路なり。

 なるほど。ということは、”仁義なき戦い”とは「人の心も、人の路も踏み外した戦い」って事ですね。人でなしの戦いってことですよ。畜生の戦いってことですね。いやー恐ろしい。

 

Q4.畜生って…まぁ、そういうお話なんじゃないの?

 そうですね。おそらくこの意味で付けられたタイトルだと思います。

 それでは、二人目の先生を紹介しましょう道家の老子先生です。

老子

大道廃有仁義。

大道廃れて仁義有り。

  なるほどなるほど。ということは、”仁義なき戦い”とは「大道に沿った戦い」ってことですね。”大道”とは”自然の持つ無為なる流れ/万物の根源”のことを言います。つまり、「無為自然に則った戦い」ということですね。いやー、素晴らしいダイナミックな戦いですね。これは避けることが出来ない。しょうがない。

 

Q5.いや、そんな大げさな話じゃ…?

 え?そうじゃない?あ、老子先生はこうも言っています。  

老子

上徳不徳、是以有徳。下徳不失徳、是以無徳。上徳無爲、而無以爲。下徳爲之、而有以爲。上仁爲之、而無以爲。上義爲之、而有以爲。上禮爲之、而莫之應、則攘臂而扔之。故失道而後徳。失徳而後仁。失仁而後義。失義而後禮。夫禮者、忠信之薄、而亂之首。前識者、道之華、而愚之始。是以大丈夫、處其厚、不居其薄。處其實、不居其華。故去彼取此。

※自分で打ち込むのが面倒だったのでこちらから拝借しました。ゴメンナサイ。

(もちろん下の解釈は自前です) http://blog.mage8.com/roushi-38

 

Q6.アイヤー。シェシェ、ザイチェン!

 そんな慌てなさんなって。簡単に解説します。

 老子先生は、人間の行いは「道、徳、仁、義、礼、智」の順番で現れると言っているんですね。先ほど”大道廃れて仁義有り”とお話がありました。

 同じように、人は道から外れると徳を求めます。でも、徳を得られないと、仁を求めます。仁を得られないと、義を求めます。そして、義も得られないと、礼や智を求めるようになると言うんですね。

 だから、礼や智をアーダコーダ言う人は”道も徳も仁も義も無い”人たち。言わば、どうしようもない人たちなので、他人の無礼や無知を許さない小さな人間となってしまうというわけです。

 礼儀や知識は一見華やかに見えますが、それを重要視するような社会とは”欺き”や”騙し”が横行する乱れた社会である。だから、人は素朴に大道を守りその実(幸福)を取るのが自然な生き方ですよ。っと、このように言っているんですね。

 

Q7.言われてみれば、なるほど、良いことを言っているね!

 そうでしょう、そうでしょう! ということは「仁義無き戦い」とは…!?

 

Q8.それにこだわるね… せっかく良い話で終わりそうなのに。

 ”仁義”を無くしたヤ○ザ屋さんは”礼”にうるさい。なるほど、よくわかりますね。…彼ら上下関係厳しそうですもんね。そして、”欺き騙し騙される乱れた社会”…わかります。わかります。これは抗争勃発ですね。なるほど。なるほど。いやー、やっぱり人間正直にまっとうに生きろってことですね。ハイ。

 

Q9.オイ…そのうち怖い人がくるぞ…。

 余談ですが、儒家的発想で考えますと逆の見方も出来るんですよ。良い文言が見つからなかったのであくまで余談となってしまいますが…。彼らは、智を学び、礼を学び、義を学び、仁を学び、徳を尊ぶわけです。

 言い換えると、無知を笑う人とは、智を持たないために無知を笑うのです。礼儀に煩い人とは、礼を持たないから礼を尽くされず、不義に憤る人は、義を持たないために義を得られず、不仁を嘆く人は、仁が備わっていないために仁を示されない訳です。人のことをとやかく言う前に己が学べと言うことですね。

 

Q10.ということは?

 「仁義なき戦い」つまり、「仁も義もない」と言い切れるような悟りの人物は、もしかしたら”大徳の人”なのかもしれませんよ? そういえば、ヤ○ザの大親分ってそんな感じで描かれることも多いですよね? いやー、人生で一度はそんな”大徳の人”にお目見えして見たいものですね。

  

蛇足…

 やったった!小難しい話を全部ほったらかしてヤッタッタ! ほんとは人文学も大切でっせー。→そこで中国哲学ですよ。の流れに入れたかったけど、こっち先に書いちゃった。「ピーンポーン」おや? こんな夜中に誰か着たようだ……。

 

 もし、中国哲学に興味を持った方がいらっしゃれば、以下の蔡志忠/野末陳平のマンガシリーズをお勧めしておきます。

 中国哲学の欠点は解釈に解釈を重ね続けているので、原書が墨でべたべたなのです。当然原書や何らかの解説本から入っても良いのですが、多かれ少なかれ注釈が入る分すえた学問の匂いがします。

 彼らが主張したかったことって案外もっと素朴で素直な主張であったんじゃないかと私は思います。マンガと言っても、中身は案外本格派なのでご安心を。

 ちなみに、最初は孔子から!となりがちですが、『論語』はバラバラでどこから入っても面白くは無いのでお勧めしません。儒家なら孟子、道家なら老子がお勧めです。慣れてから孔子を訪ねてみてください。

 

 参考文献

マンガ 老荘の思想 (講談社+α文庫)

マンガ 老荘の思想 (講談社+α文庫)

 

 

マンガ 孟子・大学・中庸の思想 (講談社+α文庫)

マンガ 孟子・大学・中庸の思想 (講談社+α文庫)

 

  

マンガ 孔子の思想 (講談社+α文庫)

マンガ 孔子の思想 (講談社+α文庫)